アンダートレーニングとオーバートレーニング
効率的にトレーニングを行っていくために考えなければいけないのが、アンダートレーニングとオーバートレーニング。
前回の記事で、筋肉は合成と分解のバランスによって大きくなったり小さくなったりするというお話をしました。
筋肉の合成が分解を上回れば筋肉量は増えるし、分解の方が多ければ筋肉量は減っていきます。
アンダートレーニングやオーバートレーニングの状態になってしまうと、十分に筋肉が合成されないため思うように筋肥大の効果が出なくなってしまうのです。
今回の記事では、前半ではアンダートレーニングとオーバートレーニングって何なのか、どうやって起こるのかという話をしつつ、後半では適切なトレーニング量について考えていきましょう。
アンダートレーニングとは
「筋トレで筋肥大させるためには、適切なトレーニング量があります」
トレーニングのボリュームは、多すぎても十分に筋肉は大きくならないし、少なすぎてもダメ。
アンダートレーニングは、トレーニング量が少なすぎて十分にトレーニング効果が出ていない状態を指します。
アンダートレーニングになってしまう原因は2パターンあります。
ひとつはトレーニングの頻度が不足している場合、もう一つは強度が不足している場合です。
最近では、トレーニング関係の書籍などでオーバートレーニングについて書かれているものも多いので、クレバーで頭の回る人がオーバートレーニングを気にしてアンダートレーニングになりやすい傾向にあります。
ずっと同じ重量同じ回数でトレーニングを行っている方も、完全なアンダートレーニングです。
オーバートレーニングとは
「トレーニングの頻度が多すぎたり強度が高すぎて筋肥大しにくくなっているのが”オーバートレーニング”なのです」
回復力を大きく上回る量のトレーニングをしてしまった結果、トレーニングの強度が下がってしまったり、分解が促進されたりして十分に筋肉が合成されなくなってしまう。
この状態をオーバートレーニングを呼んでいます。
フォースドレップ法やレストポーズ法など追い込むテクニックを何セットも行うような強度の高いトレーニングを行ったり、同じ部位を毎回追い込んで高頻度で行うようなトレーニングを行っている場合にはオーバートレーニングに陥りやすいです。
オーバートレーニングは短期間であれば問題ない
2週間程度までのオーバートレーニングはオーバーリーチングと呼びます。
この程度のオーバートレーニングであれば、十分な回復を挟むことによってトレーニング前よりもパフォーマンスが向上することがあります。
問題になるのは長期的にオーバートレーニングに陥ってしまう場合。
長期的なオーバートレーニングは様々なコンディションの低下を引き起こすことがあります。
オーバートレーニングの兆候
- トレーニングの重量や挙上回数の低下
- 集中力の低下
- すぐに疲れる
- 風邪をひきやすくなったり、体調不良が続く
- 収まらない筋肉痛
- 不安感、倦怠感、気力の低下などの心理状態の変化
- トレーニングへの意欲の低下
これらの兆候が表れてきたら、オーバートレーニングの可能性があります。
トレーニングの強度を落として睡眠をしっかりととるようにしましょう。
アンダートレーニングの原因
「アンダートレーニングってなんでなるの?」
「アンダートレーニングの原因はトレーニングそのもの。1回あたりのトレーニングのボリュームが十分ではないか、トレーニング頻度が少なすぎるかのどちらかです」
1回あたりのトレーニングが足りない
週に同じ部位を2回3回行っていても、1回あたりのトレーニングできちんと追い込めていなければ、トレーニング量は足りません。
1部位あたり2~3種目程度、1種目につき2~4セットくらいやったほうが筋肥大しやすくなると言われています。
しっかりと筋肉を追い込むのは大前提です。
トレーニング頻度が少ない
しっかりと筋肥大させたいのであれば、1部位あたり最低でも週に1回はトレーニングを行うようにしたいです。
2週間、3週間と開けてしまうと、せっかく少し筋肥大しても次回のトレーニング時にはもとに戻ってしまいます。
階段を登るように、ほんの少しずつの筋肥大を積み上げるには、最低週1回は同じ部位をトレーニングするようにしてあげてください。
アンダートレーニングの対策
アンダートレーニングの場合の対策は簡単です。
単純にトレーニングの強度、量、頻度を増やしてあげればオッケー。
オーバートレーニングの原因
オーバートレーニングは、トレーニング量に対して回復が追い付いていないことで起こります。
原因がトレーニングそのものにある場合と、トレーニング以外の生活にある場合があります。
「オーバートレーニングにはいろいろな要因が絡んでくるんです」
「アンダートレーニングよりも少し複雑ですね・・・」
トレーニング量が多い
まず一つ目の原因は、トレーニング量が多いこと。
アンダートレーニングと同じで、1回あたりのトレーニング量が多すぎるまたはトレーニング頻度が多すぎることです。
トレーニング量が多すぎると十分に回復が起こらず、トレーニングの効果を無駄にしてしまうことになります。
次のトレーニングの日になっても、対象の部位に強い筋肉痛が残っているのなら明らかにやりすぎです。
トレーニング強度が高すぎる
高すぎる強度のトレーニングを行っている場合にも、オーバートレーニングになりやすくなります。
よくあるパターンとして、フォースドレップ法などの追い込みテクニックを多用する場合。
すべてのセットで限界以上に追い込んで行うようなトレーニングは筋肉の回復を遅らせ、オーバートレーニングを引き起こしやすくなります。
日常生活のストレス
オーバートレーニングの原因は、トレーニング以外にもあります。
それが日常生活のストレスです。
わたしたちは普段の生活で様々なストレスにさらされていますよね。
仕事のストレス。家庭のストレス。人間関係。それらのストレスが多すぎると、トレーニングの回復にも影響を与えます。
トレーニング以外に何もしなくていい人と、毎日残業で責任重大な仕事をしている人。同じトレーニングを行っていても、生活トータルでのストレス量は段違いです。
回復力の大部分を生活のストレスからの回復に充てる必要があるので、トレーニングのダメージの回復が通常よりも遅れます。
日常生活が忙しい場合はトレーニングの回復にも影響が出ることを覚えておいてください。
回復力の低下
回復力の低下もオーバートレーニングの原因の一つ。
十分な栄養と睡眠をとっていて心身ともに健康な状態であれば、私たちは本来持っている回復力を発揮できます。
しかし、偏った食事や睡眠不足、ストレス過多による様々な不調によって、本来持っている回復力を発揮できない場合があるのです。
そのような場合には、同じトレーニングを行っていてもオーバートレーニングになってしまうことがあります。
オーバートレーニングの対策
オーバートレーニングは原因が多岐にわたるので、自分がどこを変えられるのかを考える必要があります。
例えば、仕事の残業と睡眠不足が原因でオーバートレーニングになっている場合。仕事量を減らせればいいですが、現実にはそうはいかないですよね。
残業を減らせるかどうかは会社の状況にかかってきます。睡眠も増やせるとは限らない。
その場合、トレーニング量を減らして対応するしかない。
逆に仕事や日常生活を改善できるなら、トレーニング量を減らすよりも生活面を改善したほうが、筋肥大効果は高くなります。
トレーニングボリュームは、回復しきれる範囲でなるべく多い方が筋肥大しやすいですからね。
明らかにトレーニング強度が高すぎる場合は強度を落としましょう。
回復力は個人差が大きい
「限界を見極める・・・のです!」
トレーニング効果を最大化するには、回復しきれる範囲でよりたくさん強度の高いトレーニングを行うべきです。
しかし、トレーニングからの回復力には個人差が本当に大きい。
自分に合ったトレーニングボリュームを見つけるためには、一度ガンガン追い込んでやってみるのがいいと思います。
オーバートレーニングを気にしないでガンガンやる時期を設けてみる。それでオーバートレーニングぽくなったら強度を落とす。
そうやって自分の限界を探っていくのがよいですね。