筋トレをして筋肉をつけるとどのくらい代謝が上がるのか
筋トレをして基礎代謝を上げよう!というのは、ダイエットするときによく聞く言葉ですよね。
実際に筋肉は脂肪と比べると消費カロリーが多く、同じ体重でも筋肉量の多い人ほど代謝は高い傾向にあります。
では、具体的にどのくらい代謝が上がるのか?
まず筋肉量を正確に測定することは難しいので、ここでは筋肉量というよりも除脂肪体重(脂肪を除いた体重)の変化と代謝の変化について説明していきます。
結論から言うと、除脂肪体重が1㎏増えると基礎代謝は50kcal程度上がると言えそうです。
代謝とは
ここで言う代謝とは、私たちが生活するのに必要な消費エネルギーのことを指します。
何もしないでも消費するエネルギーが基礎代謝。
日常生活や運動で消費するエネルギーが活動代謝。
そして、食事することで消費するエネルギーが食事誘発性熱産生(DIT)です。
「この中で基礎代謝は、私たちが生命を維持するためのエネルギーなんですよ」
そしてそれぞれの臓器や組織ごとにどのくらいのエネルギーを消費しているのかをまとめたのが下記の表です。
ヒトの臓器や組織ごとの基礎代謝量(安静時代謝量)
この表によると、筋肉1㎏が1日で消費する基礎代謝は約13kcal。
つまり、筋肉が1㎏増えることで増加するカロリーは理論上13kcalくらいとなります。
「えっ!?そんなに少ないの!?」
「って思いますよね(笑)でも、話はここで終わりません」
除脂肪体重が1㎏増えると基礎代謝は約50kcal増える
「ここからは実際のトレーニングの現場でどうなるのかを見ていくのです」
これまでに行われた研究では、24週間にわたって筋トレを継続し、代謝の変化を調べた実験があります。
その実験では、参加者は24週間で除脂肪体重が2㎏増え、基礎代謝が100kcal増加したそうです。
理論上、筋肉が2㎏経ても26kcalしか基礎代謝は増えないはずなのになぜでしょう。
この想定外の基礎代謝の増加分は、習慣的な運動刺激によって交感神経が活性化したり、臓器の代謝が増えたという見方が強いです。
また、除脂肪体重2㎏の増加は単に筋肉量が増えただけではありません。
筋トレによって心臓などの内臓も肥大するのです。
先ほどの表を見てもらえればわかりますが、臓器の方が筋肉以上にカロリーを消費しているので、少し肥大するだけでもカロリー消費量はかなり増えると考えられますね。
つまり、筋トレによって筋肉だけでなく内臓も肥大することで、1kgの除脂肪体重の増加が50kcalの代謝アップにつながるということなのではないかと考えられます。
筋肉量が増えると運動による代謝もアップする
筋肉量増加による影響は基礎代謝だけではありません。
運動時の消費エネルギーも増える可能性があります。
例えばジョギングの消費カロリーを考えてみましょう。
ジョギングなどの有酸素運動では、体重が重い人ほど消費するエネルギー量は多くなります。
10㎏をお1時間で走るという同じ運動をしても、体重50㎏の人よりも80㎏の人の方が消費するエネルギーは多いということです。
これは、軽いものを動かすよりも重いものを動かす方が仕事量が多く、使われるエネルギーも多いためです。
そしてこれは筋トレでも同じことが言えそうです。
ボディビルダーと著者の減量時の摂取カロリーを比較した際にも、おおむね体重1㎏あたりで70~100kcalくらいは1日の消費カロリーに差が出ました。
これが純粋な筋肉量の増加によるものなのか、体重増加によるものなのかはわかりませんが、筋肉が増えて体重が増えればそれだけトレーニングで消費するカロリーも多くなるということが言えるでしょう。
「トップレベルのボディービルダーになると1日に5,000kcal食べても体重が落ちるなんて人も・・・」
「5,000kcal!? 同じ人間とは思えないです・・・」
結論として、トレーニングによって除脂肪体重が増えると、1㎏あたり50kcal程度基礎代謝が増加。
運動の消費エネルギー増加を考えると、除脂肪体重1㎏の増加で100kcal近く消費カロリーが増える可能性もあるということです。